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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

来れ 若人  - 入学試験 -

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* 平日ダイヤは20分に1本間隔。夏は蝉の声、冬は雪、不便だけど大好きな駅だった。

 

勤労学徒 

2月初頭、大学では後期試験が終わると長い春休みの始まりです。そしてもう一つの試験・入試 が始まります。その間僕ら体育連盟の学生は 入試バイ なるものに励みます。各部活ごとに希望者が募られるのですが、すぐに定員に達してしまう。その秘密は夢のような好待遇にありました。

 

時給 900円、朝食にサンドウィッチとコーヒー牛乳、昼食に京王デパートの松花堂弁当( みたいな豪華弁当 )、午後にはおやつとお茶付き  

…大学事務局の金銭感覚はどこか浮世離れしている。この味を知ったら、普通のアルバイトは馬鹿らしく見えてしまう。

しかし風紀厳正を極める入試期間。素性の分からぬ一般学生では、バイト感覚のみでしか応募しないでしょう。顔も名前もよく知り、大学の指示を守る体育連盟の学生たちに用立てるのは、非常に賢明な判断だと言えます。

 

仕事内容は試験官の補佐や、大学の最寄駅・バス停で受験生の誘導をすること。ただっぴろい学内でも、学生は各所に配置されていました。試験中には不審者の見回りや、トイレ迷子の受験生にも親切に対応します。僕らの大学は全6学部。約10日間の受験者数は、数万名に上ります。

 

 

 それぞれの思い

例年 僕の役目は最寄駅・多摩動物公園駅近くでの誘導。同じ駅に別の大学があるので、試験日が重なる時は注意が必要でした。

『 △△大学への経路はこちらでーす! 本日は法学部の試験となっておりまーす!』

といった具合で僕らは案内します。

日頃鍛えし大声はこんな局面でも発揮される。僕らはもちろん正装。応援団以外にも、空手部や相撲部も学ランを着用するし、揃いのブレザーをまとう運動部もいます。遠目には高校生のような誘導員たちがいることに、違和感を抱いた受験生もいたと思います。

 

駅の改札口から現れる受験生たちからは、その緊張がビシビシ。吐く息も白く 無言で駅からの坂を登る姿は、今日までの苦労を物語っているようだった。僕らの大学が本命か否かは分からないけど、受験生たちには期するものがあるのだろう。思えば高校生だった1年前、僕も彼らの立場だった。この中には未来の新入団員も紛れているはず。鍛えれば立派な幹部に成長するだろう。

全員が力を発揮できるようにと願いながら、僕は初めてこの駅に降り立った日を思い返していました。

 

…そんな僕の感傷を乱すかのように、駅や校門付近には例年 左翼学生 が現れる。彼らは “ 革命闘争 ” を呼号し、マル〇ス思想烈々たるビラ( 高尚な理想は名ばかりで、大学の悪口でいっぱい )を受験生に配っていたりする。何も知らない受験生たちは、大学からの必要書類と思って受け取る人も多いから性質が悪い。僕らは連中を駆逐する任務も帯びていました。どうでもいいのですが、この種の皆さんは一様に残念な私服センスの持ち主だったりします。

 

 

春よ来い 

試験終了後の夕方は、再び朝と同じ配置へ。受験生たちの表情は、心なしか落ち着きを見せている。その成否は分からないけど、受験生にとっての長い1日がとにかく終わったのだ。

駅へ向かう人波に忘れらない女の子がいました。ぐすんぐすんと泣きじゃくりながら、坂道を下りてくる。弟が通っていた日〇豊山高校の姉妹校の制服だったから、余計目についたのでしょう。

男の性か、思わず  チュッと  ギュッとしたくなる。『 きっと大丈夫、さぁ笑って ♪ 』と。でも誘導員の僕らは黙って見送るしかない。その後ろ姿はとても小さく見えました。

2ヵ月後、新年度の教科書売り場で彼女を見付けました。女の子同士で楽しそうに語らう姿。よこしまな僕の慰めは無用だったと知り、何故だか失恋した気持ちに。でも本当に良かったと安心しました。

 

 

約10日間の入試バイトを経て、応援団の新幹部体制も本格始動。

春季強化合宿を乗り越えれば、準団員だった1年生は晴れて2年 リーダー部 or 鼓手隊 or 親衛隊 となります。そして2年生は準幹部に。年度末の同窓会ラッシュ、OB・OG総会、卒業式、入学式、勧誘の準備…春のスケジュールはぎっしり。

濃密な1年間が過ぎようとしています…