應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

いざ共に鍛えん  - 新人教育 -

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* 幹部室の壁面に掛かる木札たち。新入団員は伝統重き様に圧倒される。ちなみに物故者の木札は、四周を黒く縁取られる。

この写真撮影の後、僕は幹部室を一人で清掃。そして幹部交代式に臨んだ。

 

 

新入生 成長記 

新入生を迎えて1ヶ月。彼らの顔つきも変わり、練習や日々の挨拶も板に付くようになる。その成長は日常にも表れます。

まず昨今の若者にありがちな『 先輩、~っス 』のような軽い語尾が影を潜める。その言葉遣いは全て

『 押忍、先輩 〇〇 で御座居ます 』

という折り目正しいものに変わる。

 

もちろん教育された結果なのですが、その環境に身を置けば、言葉遣いや礼儀は自然と身に付いてゆきます。少しだけ日々の挨拶を紹介しましょう。

先輩のお迎え・お見送りは横隊整列が基本( この時 隣同士の団員は靴の爪先を付け合う )。号令は列の一番左に立つ先任の下級生が行い、声を揃える。

 

その日初めて会う先輩には『 〇〇 先輩、ちわーーっす! 』

2度目以降に視界に入る先輩には『 おーーす! 』

何か言葉をかけられたり、頂き物をすれば『 押忍 どーもごっつぁんです、頂きます 』

失礼や沮喪があれば、『 押忍 どーもあした! どうも相済みませんでした の略

 

特殊な例では、先輩の目の前を横切らざるを得ない状況での挨拶があります。

そんな時は『 前押忍 まえおす 、失礼します! 』

と言ってから視界のお邪魔をさせて頂く。時と共に『 まえおぅっ、せいやす!』のような発音になる。こうなる頃には下級生もいっちょまえの面構え。

 

決まり事は、言葉遣いや挨拶だけではない。文章表記も可能な個所は全て、漢字 & 旧字体で書くことを求められます。

日々の歯切れ良い挨拶、規律厳正を示す大声、常用漢字になびくことのない文章表記…

戸惑いながらも容儀を正し、背筋を伸ばす学生生活は否応なしに人を変えてゆきます。

 

 

 【 鉄は熱いうちに打て 

そんな新入生たちにも、慣れが出始める。それが5~6月の頃です。

ある日、新入団員のひとりが3年生と目が合いながらも、遠回りして通り過ぎたと聞かされました。学内で先輩を発見した下級生は、いかなる遠距離であってもその場で挨拶し、駆け寄って行かねばならない決まりです。

 

3年生が1年生を直接指導することは少ない。1年の失態は2年への叱責となって降り注ぐ。もちろんこっぴどくやられました。新入団員の躾は、僕に対しても苦痛と焼き直しを迫るものだった。

しかし内心では『 上級生の思い過ごしじゃないのか?』と思っていました。

 

果して数日後、僕は発見しました。これから練習時間だというのに、彼は駆け足もせずだらだら歩いている。

それまで可愛がっていた後輩でしたが、先日の件もあって僕は怒り心頭。彼のクラスメートの眼前で、回し蹴りを浴びせてしまいました。

それは僕の初制裁。穏健派だと思っていた僕が激昂したことに、彼は驚いていました。

 

無意味にも思える規律をごまかしたり、疑問を差し挟むようでは成長は望めない。大切なのは面倒事にも立ち向かう覚悟。僕らはそんな団員を育てねばならない。エラそうな事を言う僕らだって、手を抜いてはバレて怒られてきた。新人が踏みそうな地雷など分からぬはずがない。

制裁はお互いに後味が悪いが、引きずることは余りなかった。感情的な暴力の是非はありますが、それでも身体で理解して欲しかった。

 

 

 主を待ち侘びて 

かく言う自分にも、忌まわしい記憶があります。

それは1年時の6月末。本格的な夏の到来を迎え、誇りだった学ランもサウナスーツに変貌する季節です。

 

『 自宅近くに先輩が出没する訳でもないし、大学に着く手前まで学ランは脱いで行こう♪ 』

軽い気持ちが芽生えた僕は、上着を小脇に抱えて通学。当時僕は、家から地元の駅まで自転車に乗っていました。学ランの上着を自転車のカゴの中へ放り込み、駅へ向かう。そんな毎朝が続きました。

 

ところがある日、あと少しで大学最寄駅という時のこと。

抱えていたはずの学ランがない…

 記憶を辿ると、自転車のカゴに放置したままだった事を思い出しました。

その朝は1限から講義でしたが、僕は慌ててUターン。八王子から浦和に急行し、カゴの中の学ランを救出しました。

 

上着着用を怠り、団員であることを放棄した自分がいました。

天網恢恢疎にして漏らさず … もし誰かに盗まれたりいたずらされていたらと思うと、ぞっとする。上級生から恐るべきプレゼントが贈呈されたことだろう。

自転車カゴの中で、悲しく僕を見上げる学ランに申し訳なさが込み上げる…

 

桜と新入生の喧騒で華やいだ学内も、落ち着きを見せる頃の出来事だった。

緊張感はいつも自分の外側からやって来る。

成長することは、何かに慣れることじゃない。

眉宇を引き締めた日々には、懐かしさだけでは語れぬ思いを 今も抱きます。

 

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