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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

下級生たちの神宮  - 野球応援 1 -

  

只今支度中 

神宮での野球応援。その男らしさは、応援団を志した者なら誰もが思い描くでしょう。風をはらんだ団旗の下、数百名の一般学生や卒業生と歌う校歌。歓喜に響くエール。“ 花の応援団 ”   とはよく言ったものです。大学野球が持つ大きな魅力は、母校とのつながりや伝統の重みを感じられる点かもしれません。その支えこそが応援団の役割の一つといえます。

華やかな舞台裏の一方で、僕ら下級生の現実は少し異なります。球場に到着した瞬間からやるべきことが山積しています。試合前の準備を少しだけ見てみましょう。

 

まずは 幹部=4年生 用に人数分の座ぶとんを敷きます。事前にOB・OG等が観戦すると分かっていれば、その分も準備。ついでに言うと、血気盛んなOB諸先輩のご来臨は、現役生にとって非常に脅威 となります。卒業年度や苗字を聞くだけで、震え上がるような方もいました。席上の汚れ、雨滴がないことを入念に確認。使用の有無に拘わらず灰皿も添えます。現在は喫煙逆風の時代なので、僕らの様に灰皿持ち込みはNGかもですが。

フェンスには何枚かの横断幕を毎試合 同じ場所・同じ高さに結び付けます。一度などは「 文字が微妙に傾いているぞ 」と試合中にどやされた事がありました。

スタンドでは各人の立ち位置を確認します。観客席や階段は どの列も同じ景色に見えます。僕はこれに慣れるまで大変でした。ついでにこの時、落ちているゴミもくまなく拾います。

 

団旗の組み立てや太鼓の準備は、人目につきにくい場所を選んで行う。忘れちゃいけないのが…団旗や備品が誤って地べたに1ミリでも触れようものなら、上級生の怒りは天に沖します。恐らく関東地方全域に雷警報が発令されることでしょう。これが理由で引っぱたかれるのは、ある意味で新人の通過儀礼。特に旗手や鼓手の先輩は機材と一身同体。ナーバスになるのも当然です。

 

 

緊張の幹部到着 

準備が整うと 3年生以下全員で一箇所に整列。3年生は幹部用の腕章と白手(ハクテイ =白手袋)を白ハンカチにくるんで持ち、4年生の到着を待ちます。全員が非常にピリピリする時間です。

彼らが姿を見せるのは当然一番最後。球場の外周回廊に響く幹部たちの足音は、今思い出しても背筋が伸びる思いです。前列に居並ぶ3年生ともなると、幹部の表情・歩き方から、その日の機嫌状態や怒りそうなポイントなどを詳細にかぎ分けることができます。ベテランならではの特殊スキルです。

 

幹部が到着すると、対戦校幹部たちと挨拶を兼ねた打ち合わせが行われます。お互い同じリーグなので、下級生時代から顔も名前もよく知った相手ばかり。和やかな談笑で終ることもあります。ただし、御付きに選ばれた下級生の緊張は最高潮

とはいえ対外的な場に連れ出してもらえることは、下級生にとって非常に名誉なことです。

 

統制ある応援は、戦場のような緊張感から生まれます。気が抜ける瞬間など一秒もありません。

傲慢・威圧的に映る幹部たちですが、彼らもかつては下級生。時に渋い表情ばかりでもなく、大事な一戦の前後には見事な訓示をたれたり。試合後にさんざんヤキをくれた後、3年生にそっとお金を握らせることも( たまには皆でメシ食ってこい の意図 )。団員の気持ちの高め方は心得ているものです。

 

雲の上の幹部を夢見た下級生時代。毎日が緊張だった1年の頃は、本当に自分が幹部になる日が来るなんて信じられませんでした。全てにビビりながらの戦闘準備。それは団の規律を身体で理解し、自己修養の場としても大切な時間だったと思います。