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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

時には昔の話を  - 明大の同級生へ -

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* 団長を務めた大学4年の時。良き後輩たち、元気ですか? いろいろ無茶やらせてごめんよ。 

 

   束の間の再会、それから 

高校を卒業してから、K山くんと僕は別々の大学へ ( →前章から続き ) 。お互い応援団に入っていることは知っていましたが、団としては野球のリーグも応援団連盟も異なるため、会うことはありませんでした。

でもたった一度だけ、試合の場でK山くんと間近で顔を合わせることに。毎年6月、両国国技館で行われる東日本学生相撲選手権です。この大会は20校近くの大学応援団が、意地をかけて一同に会します。世間ではあまり馴染みのない学生相撲ですが、我々応援団にとっては 大舞台に位置付けられています。

僕は大学3年、彼は2年の年でした。

 

大会当日の朝、国技館の開門とともに続々と応援団が集まります。そして予め指定された席の配置に 荷物を持って向かう時のこと。僕ら中央大学のすぐ目の前を歩いていたのが、彼ら明治大学でした。団の移動は縦列が基本。それぞれの下級生を率い、彼は列の最後尾を、僕は先頭を歩いていました。

すぐ目の前を行く背中に、もしかしたら…??? と僕は感じました。K山くんは先に気が付いていたようです。真後ろの僕に振り返りながら角帽をかざし、『 今日は負けんぞ ♪ 』とばかりに笑顔を見せてくれました。

交わす言葉もなく忘れられない転瞬の再会。あのK山くんの表情を、僕は今もはっきりと覚えている。大勢の人が行き交う中、応援団の神様がくれた出来事なのだと勝手に思っています。

 

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* 中央大学校歌が暁闇の大手町に響く…。引退戦・箱根駅伝にて。

 

時は流れて翌年、僕は 平成 XX 年度団長を務めました。幹部としての1年間はとても早い。気が付けば引退試合となった箱根駅伝もすでに終え、僕の4年間の団生活も 幹部交代式を残すのみとなりました。そんな1月のある日。団室で私物整理をしながら、僕は郵便物や書類に目を通していました。この季節、全国の大学応援団から新・旧幹部の交代通知が大量に届きます。

その中に明治大学応援団からの封筒もありました。ちょっと緊張しながら僕は開封してみました。果たせるかな、新年度団長に彼の名前を見つけました…K山くんは己が日本一と信じた場所で、団長に任ぜられていました。

灼熱の高校野球、冬の放課後に教室で見せたリーダー、応援団を語る真っ直ぐな眼差し…僕の中であふれるように甦りました。これまでに人知れず流した涙や、言葉にはできない苦労もあっただろうと思うと、どうしようもなく胸が熱くなりました。

君は、僕と應援團の出会いの 最初から最後まで心を揺さぶってくれた。

 

 

 その情熱に導かれて 

『 ~ に青春を奉げた 』 という表現をよく見かけます。この言葉は僕に相応しくない。奉げられるような立派な何かは、誰もが最初から持っている訳でもないから。僕は君に…そして君を通して出会えた応援団に、青春をもらったと思っている。

僕は高校では全く目立たなかった。クラスの中でさえ、いるのかいないのか 分からない様な男だったと思う。そんな自分が こんなにも一生懸命になれた。規律に身を置き、誰かを応援することの責任と素晴らしさを知った。全身で母校を感じた4年間だった。

無知蒙昧な憧れ一つで飛び込んだ応援団。楽しさよりも苦しさの方が圧倒的に多く、“ 辞めたい ” と思ったことなら数え切れない。だけど “ 辞めよう ” と思ったことは一度もなかった。

自分よりも高く厳しい場所で、必死になっている同級生がいる。会って話す機会なんかなくても、君の存在は ギリギリの線で踏み止まる僕の勇気に変わった。

 

 

 明治大学応援団の勇者へ 

伊奈学園応援団を見た日の感動が、僕と応援団の始まりでした。ともすれば僕は、空っぽだと思っていた過去を塗りつぶし続けることで、前へ進もうとしていただけなのかもしれない。けれど幾多もの修羅場を踏んできたK山くんのように、僕のすべても同じ直線の上にあるのだと感じています。空虚に映った一つ一つにも意味がある。そう考えた時 自分の後悔や失敗に対して、少しだけ優しくなれる気がします。何もかも完璧じゃなくたっていいだろうと。

あれからK山くんとは会っていません。でも 心から伝えたい。

全力で応援団に立ち向かうその姿に、背中を押してもらった人間がいることを。

 

神山 徹くん、ありがとう。

この拙文が いつか君に届くことを願って。

 

埼玉県立伊奈学園総合高等学校 第9期生

中央大学応援団 団長  

君と同じクラスだった 伊藤 央 より

 

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 学ランの胸ポケットと、見えない内ポケットに。僕の大学時代はこの2つと一緒でした。