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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

合宿事件簿  - 夏合宿 3 -

戦いの記録 団の日常

 

 オフの珍道中

練習漬けの夏合宿ですが、1日だけ完全休養日が与えられるのが恒例でした。

全日程の折り返し地点 中日 なかび です。この日は早朝の座禅もない。朝食後は外出も認められていました。夕食時間までに戻ってくればいいという決まりです。合宿で唯一最大の慰めイベントでした。

前日の夜、僕らは遠足前の小学生のようにそわそわ。眠気と闘いながらの日誌執筆も、意地悪な書き直し命令も、僕たちの胸の高鳴りを止められない。そして翌朝、1年生3名は彼らだけで外出。僕は3年生たちと行動をともにすることに。

 

ところが出掛ける間際に至って、僕ら2・3年生は重大なことに気付きました。『 この辺って、遊んだり食べたり出来る場所はあるのか? 』と。新潟県そのものをよく知らず、休みだけ与えられて大はしゃぎ。しかも僕らが滞在しているのは、小さな寒村。大学生にもなって計画性ゼロの僕らでした。

 

結局僕らはタクシーで最寄駅まで行き、駅員の方お勧めのロープウェイを目指すことに。年齢層の高い観光客にまじって、応援団独特の練習着姿ボンネル と呼ばれるだぶだぶのジャージのズボンに 汚れた白Tシャツ、運動靴 )の僕らは、さぞ奇異に見えたことでしょう。お昼にはちょっとした繁華街燕三条だったと思う)にのこのこと繰り出し、レストランやお土産屋に入店。ここでも店員のお姉さんに服装や言葉遣いを怪しまれましたが、そんな事は気にしない。

『 うさん臭く見えますよね、でも僕ら 東京から来た大学生 なんです♪ 』

なんて説明しても信じてもらえないでしょう。混み合うランチ時間帯にもかかわらず僕らのテーブルの周りには、他のお客さんは誰一人として案内されませんでした。娑婆の世知辛さは、やっぱり僕らを複雑な気持ちにさせてしまう。ですが合宿中の我が身は、籠の中のカナリヤ。宿舎に帰るまでの時間を楽しもうと思い直しました。

リーダー部のみの合宿なれば、若い女性を見るのも久し振りです。特にお土産店の女性は、とってもいいにおいがした事を覚えています。

 

宿舎のお寺に戻ると、まだ1年生が戻らないことを聞かされました。過去を顧みれば、夏合宿からの脱走を試みる者も珍しくない。不安が脳裏をよぎりましたが、彼らはちゃんと時間内に帰って来ました。

 

 

 プチ脱走のお土産 

話は変わって、ある夜 日誌奉読を終えた僕に3年生たちが尋ねてきました。

『 おい、お前はたまっていないのか? 』と。

質問の真意を図りかねている僕に、コンビニ袋からガサガサと取り出されたのは、数冊の エロ本 でした。

 

聞けば、前日遅く夜陰に乗じてこっそり寺を抜け出し、決死の強行軍の末に購入したとの事。もし幹部に知れれば一大事。加えて、この村でコンビニをさがすのは並大抵の努力じゃない。…虎穴に入らずんば虎子を得ず。彼らの血と汗と涙の結晶は、僕ら下級生には余りにも畏れ多き書です。でも中身はすごく気になる…! ちなみに、“ 人妻告白 ~ ” とかいう特集号があったことを僕は見逃しませんでした。さすがは準幹部らしい上級者のセレクトです。

 

我が団では不文律があり、合宿中の ヒゲ剃り・爪切り、それに “ 抜くこと ” が厳禁でした。生理現象たる朝勃ちを除けば、僕には抜くだけの余力と想像力はありませんでしたが。…そういうことにしておいて下さいね

 

しばらくは3年生たちが回し読みしていたようです。ところが数日後、合宿日誌よりも大切な本が行方不明に。

まさか幹部か? それとも練習中の不在時、お寺の人に処分されてしまったか? 

結局エロ本は思わぬ所から発見されました。1年準団員のY君のバッグの中です。大学で行われた前練習では、僕の手をさんざん焼かせた彼。

合宿生活での隠し事は長続きする訳がない。3年生に見付かり、『 自分が保管しておりました 』とおどおど。抜いたのか?と詰問され、『 …………おっす♡ 』と蚊の鳴くような か細い声で白状する姿。それは苦しい日々に吹き抜ける一陣の涼風でした。練習熱心のあまり、独自の夜練メニューに励んでいたのでしょう。

 

合宿で鍛えた(?)腕力を買われた彼は翌年、握る対象を太鼓のバチに替えました。2年進級時に鼓手隊へ任命されたからです。

豊橋市出身の Yくん、僕はあの日の読書感想文をもうちょっと聞きたかったぞ。

 

世紀末が声高に叫ばれた ’90年代の終わり近くでした。

今も大切な夏の思い出です。