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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

国技に臨みて  - 相撲応援 1 -

戦いの記録

 

 初体験の前の練習 

何やら香ばしいサブタイトルにしてみました。僕もいろいろ練習したクチです。でもそんな話じゃありません。

「 来週から相撲前練習だ。相当しごかれるから覚悟しろ 」

新調した学ランの完成待ちで、僕は少々浮かれていた日のことです。上級生に突然言われました。相撲の応援? 前練習? 僕の想像力は全く追いつきませんでした。


いきなり話がそれますが、僕たちの団は年数回の “ 前練習 ” が行われます。正式には、“ 〇〇〇 前特別強化練習 ” といいます。

東日本学生相撲選手権、 春 / 夏の強化合宿、 応援団連盟祭、 箱根駅伝 …等々の前に実施され、それぞれの行事の10日~2週間前から、徹底的にしごき抜かれます。いずれも毎日の練習以上に内容てんこ盛り。今回はその最初でした。

先輩曰く、

『 毎年6月に両国国技館で東日本学生相撲選手権が行われる。東日本全域から参加校があり、数多くの応援団が馳せ参じる。この場での相撲部の栄誉は即ち、△大応援団の栄誉。以て全力を尽くすべし。』

魁!男塾 において、大威震八連制覇 ( だいいしんぱーれんせいは ) の説明を受ける1号生たちの気持ちをご想像頂ければと思います。趣味が先走ってごめんなさい。

 

 

何もかも実戦の如く 】 

かくて翌週より相撲前練習は始まりました。昼間の授業時間まっただ中、2限開始~3限終了時までの4時間。休憩なしで行われます。国技館の客席に似た講堂教室を特別に借りるため、この時間となります。全員が授業を休んでの特別練習。必修科目があろうと例外は認められない。室内応援なので鳴り物を用いず、リーダー部だけで昔ながらの応援が展開されます。

 

練習は実戦さながらに学ラン着用。開会式を模した国歌斉唱で始まり、個人戦トーナメントから行われます。それが終ると団体戦トーナメント。いずれも、“ 初戦から勝ち進み、決勝戦を制し優勝 ” というストーリーで行います。最後に国歌斉唱と表彰式で閉会。この流れを繰り返します。完全に大会当日と同じ順序です。

ちなみに、君が代斉唱を何も考えず大声でやると 『 応援歌じゃないんだから 汚く歌うなッ 』 と怒られる。斉唱中の旗手は特に大変。団旗を地面すれすれ 90度に保たなくてはならないから。旗礼 と呼ばれる状態です。彼らにとっては最も身体と気を張る時間。何度となく連続して国歌斉唱を強いる幹部たち。普段はクールな旗手の先輩が、これ程気合いをあらわにする姿を見るのも初めてでした。

 

相撲は瞬時に勝敗が決します。それゆえ特殊な応援はあまり用いません。 『 そ~りゃ △△ 選手、 りゃぁ! △△ !  △△ ! … 』 や、『 ぶ~ったおせ~ △△  ! 』  のようなコール系が中心になります。実際の相撲は1試合で1分もやれば長い方でしょう。ですが練習では30分近くかけたこともざらでした。

練習は白熱。当初は4名だった同期も、すでに2名が退団。先輩の目が行き届く状況が整っています。幹部連中が超々至近距離で僕らの顔を覗き込み、声量や腕の振りを確かめて回る。気持ちが入らない訳がありません。時には腹部をグーパンチでごりごりされながら。時には後ろから ガッ と両腕を抑え込まれ、『 負荷に怯まず拍手を続けろ !! 』 と言われたり。幹部にしてみれば最後の国技館。団のメンツをかけた場で、僕ら下級生の足らざるを引き上げようとする熱意や闘志が バシバシ伝わります。その表情に、こいつは本当に特別な一戦なのだと強く教えられました。

 

空調オフの大教室は僕達から酸素を奪い、体中の汗で湯気が立ちのぼるような錯覚さえ感じます。梅雨せまる多湿の大教室に、男たちの声だけがこだましていました。

最終日を終えた頃には全員が、矢でも鉄砲でも来いの気持ちに満ち溢れていました。 

 

…辛い練習でしたが、大会1週間前からは相撲部のちゃんこ鍋が食べられる特典を与えられます。榊やお酒が供えられた土俵の横で、熊のような先輩方と鍋を頬張ったのは貴重な経験でした。ちなみに僕は ちゃんこ鍋よりも、サイドディッシュのカレーライスばかり好んで頂きました。

 

 

 大人はわからず屋 

後日、練習で休んだ講義には公欠届を出しておけと言われました。多くの先生方は好意的でしたが、家族社会論 と 必修英語 の先生は頑として受け取ってくれない。特に英語の先生なんぞは書面に一瞥後、公欠届を床に放り投げて下さいました。責任者たる団長や、法学部長だった部長先生の名が記された書面をゴミ扱いとは…。この手の見せしめは、在学中何度かありました。ダメならそう言ってくれればいいだけなのに。

さらに “ What‘s  this, Mr. 〇〇僕の名前 ? ” と流暢に前置きした挙句、 これは免罪符のつもりかね? 』 という名言まで頂戴しました。級友たちの眼前で嫌味丸出しな振舞いをされたことは、少々頭に来ました。講義を休んで練習に出たら、煉獄行きとでも言いたいのか( 実際に地獄の猛練習ではあったけど )

しかし欠席理由に “ 東日本学生選手権大会 特別強化練習のため ” とあれば、致し方ないことだったかもしれません。先生目線で考えれば相撲の応援、ましてやその前練習なんて理解できなかったのでしょうね。