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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

勧誘の荒波

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 * 白門は桜花爛漫。

 

二度目の春 

大学が創立111周年を迎えた年、僕は大学2年生になりました。

“ 文学部社会学科2年 ” というよりも、“ 応援団リーダー部2年 ” という意識の方がずっと強かった。

遂に後輩から大声で挨拶してもらえる立場になったのだ。

 

けれど安穏としてはおられぬ … 死ぬ気で新入生を勧誘しなくてはならない。後輩は自動的に増えるものではない。涙ぐましい決死の勧誘活動の末に得られます。何もせずに無限増殖するオールラウンドサークルの様にはいかない。

勧誘活動を始めればすぐに分かるのですが、新入生から見た応援団のイメージは決して芳しいものではありませんでした。

 

それでも僕には確固たる自信があった。団の素晴らしさは、きっと新入生にも理解されるはずだと。僕ら新2,3年生は幹部たちに問われる。

 『 目標人数は? 』と。

僕は 15名 と答えてしまった。今にして思えば、お花畑な妄想発言でした。

 

入学式当日、僕は希望を胸に勧誘に立つ。

僕の両手には団旗デザインを模した勧誘チラシ。こいつは紙のサイズいっぱいに、紫紺に白抜きの校章が大きく描かれています。“ 君の情熱を眠らせはしない ”自衛官募集ポスターの様な文句と、連絡先だけが記されたシンプルなものでした。

もちろん僕が考案したものではなく、数年前から同じものを使用していました。

 

 

 【 勧誘は大変です 

1人でも多くの後輩を迎えよう … 意気込む僕は 鎖を解かれた猟犬の如く、新入生の群れに突入。しかし学ラン姿の僕らが近寄るだけで、危険を感知した新入生たちはサッと距離をとってしまう。勧誘開始から1時間もすると、すっかり疲れ切ってしまった。これでは新入生より先に、僕の情熱が参ってしまいそうだ。しまいには、

『 話だけでもいいからさ… 』

と懇願する程に堕ちていました。それに引き替え、チアの勧誘は順調。今や15名獲得の目標は、非現実的でしかないと理解しつつありました。

 

応援団のとなりには、空手部が勧誘出店を構えている。僕らの説明を聞いた後の新入生は、空手部が大人数で取り囲み学食に連れて行ってしまう。そのハイエナ戦術は実に巧妙でした。

 

…勧誘初日も夕闇が迫ろうとしています。

寂しく店番をしていると、目の前に1人の新入生がふらりと訪れました。彼は愛知の高校で応援団だったという。久し振りの人間らしい会話に、俄然浮き立つ。ガタイも物腰も申し分ない。彼はその場で入団を約束してくれました。

翌日、彼は短ランにボンタン( 太腿部分が大きく、足首が極端に細い学生ズボン )で現れました。高校時代の “ 正装 ” らしいが、これには驚かされる。故郷から学ランを持参するあたりは、殊勝な心掛けです。幹部連中も、超高校級ルーキーが現れたとご満悦でした。

 

 

 【 狭き門くぐる試練ありてこそ、猛々しくあれ 

必死の勧誘を重ねる中、約1週間で4名が集まりました。

当初の目標値には遠く及ばないものの、悪くはない人数です。しかもその内2名が高校応援団の経験者。みんな身体つきも良く、実に頼もしい。和牛品評会のような表現ですが、いずれもA5ランク級。

 

さて … 虎の子の新人たちを、他の部やサークルに持って行かれてはたまらない。まして隣の空手部は油断ならぬ相手。

僕らは入団希望者を繋ぎ止めるために、なりふり構ってはいられません。

何も分からない新入生に 楽勝科目の情報を存分に披露。さらには、

 『 腹が減ったらいつでも勧誘場所に来てくれ 』

と伝え、後輩思いで気前の良い集団を演出。実際僕も、入学直後のお客様期間にかなりご馳走になりました。

 

身体が肥えたところで鍛えに鍛える … 長期的な視野で見れば、とても合理的な  飼育  育成なのかもしれません。

 

 それから新入生は思い知る。

 ・記念すべき初練習、あれ程フレンドリーだった先輩が鬼の豹変

 ・応援に行く学生スポーツは 週末だけだと言ってましたよね?

 ・電話番を毎日やらされるなんて聞いていません 

 ・いつになったらチアと仲良しになれるんですか?

 ・先輩、単位がヤバい理由は何ですか?

 

そして僕らは思う。 

悪気はなかったが 世の中は甘くないのだ、許せ…と。

 

“ 狭き門くぐる試練ありてこそ 猛々しくあれ ” 

これは僕が入学した年のサークル案内集の、応援団のページに大書されていた言葉。

新入団員は正に、試練の劈頭に立ったのだ。

彼らの恨み節はやがて、翌春の勧誘活動で遺憾なく発揮される。

 

承け継ぐ人あっての伝統なのだと心から思う次第です。