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應援團戦記

大学応援団の日々を綴るブログ…あなたの大切な思い出は何ですか?

酒と幹部と同期と肴  - 専修大学 -

他大学応援団 団の日常

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 * 今日も元気に神宮第二へ… 信濃町駅近く、この歩道橋を越える時は試合への緊張が高ぶった。憧れた 『 吉宗 よっそう 』 は今、写真の中華食堂に。

 

 割り箸メモリアル 

下級生だった僕らが、非常に神経を使う時間がありました。それは前期・後期の納会や、合宿の千秋楽に代表される酒の席。大学生にとって楽しい楽しい乾杯の時間ですが、ヒャッハーする訳にはいかない。僕らは規律大好きな応援団です。試合前の準備同様、やるべきことが幾つかありました。

 

早い時間に会場へ行き、着席の序列を確認。監督や幹部の席に置かれた 割り箸 は事前に割っておく…それを再び割り箸の袋へ戻す。実に苦き思い出なのですが、チア幹部たちの中には この “ 事前に割られ済み ” を露骨に嫌がる方もいました。汗くさいリーダー部の下級生が素手で触れたのだから、気持ちは分からなくもありません。 不衛生 > 幹部への忠誠   を隠さない彼女たちの様子に、思わず自分の掌のにおいを疑ってしまう。

 

店の前では数名が整列し、お出迎えに立ちます。宴が始まっても僕らは忙しい。飲みかけのビール瓶は、常にラベルを外側に向ける、注ぐ時もラベルが相手に見えるように。幹部がトイレに向かえば、出入り口へ付いて行き、ハンカチを用意。灰皿の溜まり具合や、取り皿の有無を頻繁にチェック… 店員さん顔負けの活躍ぶりです。

そして学ランのポケットには、必ず空のグラスを携帯していました。先輩方から『 お前も飲まんか… 』と注がれそうになれば、即座に頂戴するためです。注がれた酒は 一気飲みが礼儀。

 

…そんな下級生の僕らも、同期たちと飲む時だけは羽を伸ばします。集まれば口をつくのは、先輩の悪口と相場が決まっている。酒を覚え、女性を語り、まだ見ぬ幹部姿を夢に描く。そして終電も忘れて夜を明かし、翌朝そのまま大学へ。いつの時代も変わらない若者の姿が、僕らにもあったような気がします。

 

 

貫禄か? 不摂生か? 

時を経て4年生になると、等しく悩まされる現象がありました。ふくよかになってしまうのです。僕らはそれを “ 幹部太り ” と呼ぶ。応援団で最も身体と心を酷使するのは最初の2年間。熱量消費も激しい為、食べる量も学年を追うごとに増加します。

しかし最高位たる幹部にもなれば、しごかれる日々からしごく側へ。身体を使う練習から解放されても、摂取する栄養量は相変わらず。この状況では、太るなと言う方が無理な話。立場の変化は体格の変化に表れる。幹部として 貫禄ある体躯と不摂生は紙一重。ある意味では、悩める成長期と言えるのかもしれない。

 

さらに追い打ちをかける様に、酒席の機会が激増。OBや監督に誘われることもありますが、その多くは、他大との付き合い。幹部就任は、他大との親密な付き合いの始まり。下戸の僕も、週1回は他大の同期と集まっていました。劇的な体重変化こそなかったものの、大学4年時の体重は、今なお僕の最高記録です( …51kgにしかならなかった それでも入学時から5kg増 )

 

 

 専修大学との乾杯 

幹部には行きつけの店が何件かあります。そのひとつに『 吉宗 よっそうという和食レストランがありました。JR 信濃町駅から、神宮外苑へ向かう歩道橋を渡ってすぐ。初夏は木陰の軒先が涼しげに映える店。そこは幹部連中が野球の試合後に集まり、昼間からビールをあおっていた店でした。

 

店の場所は球場への徒歩経路。応援を終えた僕らは疲労困憊で荷物を背負い、喉もガラガラ。駆け足で店の前を通り過ぎるとき、冷えたビールとたばこの煙と共に とぐろを巻く幹部たちが見えます。厳然たる上下の違いを思い知らされる。

…僕は2年の春頃から、心に誓っていました。『 いつか俺も あの店で飲んでやる 』と。

 

やがて めでたく大学4年になった僕ですが、唯一の男子幹部。さすがに白昼の1人飲みはしょぼ過ぎる。でも同じ日に試合を終えた 専修大学の同期たち と、入店する機会に恵まれました。どうしても入りたかった理由を酒の肴に、苦笑しながら付き合ってくれた仲間たちが嬉しかった。

専大の1人が『 俺ら、もう幹部なんだよなァ… 』と吐き出した一言が、忘れられない。万感の思いはあれど、どこか幹部としての実感が伴わない …それは僕も同じだったから。

 

団長として初めてのエール交換も、初めて紋付き袴に袖を通した日のことも感慨深い。そして憧れの『 吉宗 』でビールを注文した時のことも…それらに負けない大切な思い出です。僕は酒が強くはないし、今でも美味しいとは思えない。なのに水滴をまとったグラスの重量感や、泡触りのひとつひとつまで胸に沁みるものがあった。

それは晴れた5月…試合の激しさを忘れた穏やかな乾杯。目の前には、同じ時間だけ苦労を共にした同期たちの笑顔 …何故だか、大きなことを為し遂げた感じがしたのを覚えています。店を出る頃には、僕らはいっぱしの幹部面。

専大同期がくれた ささやかな幹部記念式典でした。

 

この店も現在は撤退し、中華食堂チェーンの日〇屋になったとか。時代に置き去りにされた記憶ですが、我が脳裡には昨日の出来事が如く。

 

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 * 2005.4. 在りし日の吉宗。今更ながら長崎料理の店だと知りました。

写真提供:『 キューピーの散歩同好会 』様より。リンク www3.plala.or.jp/sanpo/

都内を中心に各所を徒歩で巡るブログです。懐かしい景色にたくさん会えました。管理人様、本当にありがとうございます。